邪馬台国について

金の稲穂が風になびき、かすかに鉄のにおいがする豊穣の秋。役目を終え、野となった田では、ぱちぱちと火が爆ぜ、新しい土器が焼かれています。その中で1人の女王が鏡を手にし、太陽に祈っています。銅鐸の響きが風に乗り、人々は恵みに喜び歌い、踊り、互いに手を取り、冬を迎えます。



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大陸では、魏・呉・蜀の三国、そしてその東では高句麗・百済・新羅の時代を迎える中、倭国では30を超える数多くの国々が生まれていました。その中の1つの国が今回のアンソロジーの主題である邪馬台国です。

邪馬台国を代表する女王、卑弥呼(ひみこ)、壹与(いよ・とよ)と同じ時期を生きたとされる、陳寿(ちんじゅ)が著した「魏志倭人伝」(『三国志』魏書烏丸鮮卑東夷伝倭人条)に書かれた文字は2013字。その中には具体的な倭の国や個人氏名、役職が記録されています。大陸から見ても倭国は非常に興味深かったということが伝わってくる文章です。

倭国を包んだ戦火の中、たくさんの人によって選ばれ、擁立した女王卑弥呼、彼女を支えた弟王。倭国大乱と呼ばれる戦乱状態を鎮め、偉大な女王となった卑弥呼の跡を継いだ宗女、壹与。国のために海を越えて大陸まで赴いた人々。その渡海の安全を祈った人々、そして外交の際に通訳を担当した人々。大人(たいじん)、下戸(げこ)、生口(せいこう)という身分の中で生きた人々。たくさんの人を抱えた邪馬台国は周辺各国と同盟を結び、より1つの国として成長していました。

ひとつ倭人伝の読み方を変えれば、全く違った姿をする邪馬台国。卑弥呼の都の場所や邪馬台国の場所についての説は数多くあり、書籍も数多く発行されています。

さて、その中であなたは一体どんな邪馬台国を想像するでしょうか。
倭人伝を紐解いて、ゆっくり想像してみてください。

執筆/向日葵塚ひなた

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